松崎源十郎とすら心を通わせることができる侍が一人
いつも一人で逃げようとする源十郎が一緒に連れて行こうと思える侍
もっとも逃げようとする松崎源十郎に対し一緒に行くと行ったのはこの侍でしたが
飄々としたその侍は常に人を惹きつける雰囲気を持っています
人は人、自分は自分と割り切っていて人の生きざまを否定したりもしません
この状況でみんなを見捨てて逃げようとする源十郎ですら受け入れているのです
松崎源十郎が仲間と一緒に体を張って戦ってる姿なんて初めて見たかもしれません
しかしみんなは当然松崎源十郎の行動はクズだと思っています
仲間を見捨てて逃げる事を許せるはずがありません
「仲間を見捨ててどこへいくつもりだ?」
桜花党の梅宮佑馬が立ちはだかります
こんな状況になった時わたしが知ってる松崎源十郎は
きっとこの侍を利用して自分だけ逃げようとしていたはずなのですが・・・
「邪魔だ!どけ!」
完全に仲間になっています
立ちはだかる梅宮佑馬を二人で倒し外に逃げ出しましたが藤森軍に囲まれてしまいます
「これまでか・・・」
追い込まれた松崎源十郎はきっとこの侍を裏切って逃げようとするはず
「おいあっちだ」
まさかあの松崎源十郎が・・・裏切ることなく仲間と一緒に逃げるなんて・・・
そんな松崎源十郎ですら惹きつける飄々とした侍の話です
他の侍と同じようにこの世界に転生します
彼もまた村でおせいちゃん達と触れ合うのですが今までの侍とは少し違うようです
彼は自分が侍なのに侍なんていない方がいいと言います
本当にそう思うならなぜ刀を捨てて農民にならないの?と聞かれると
戦いばかりの世の中では戦う力を持つものも必要だと答えます
それでも私は侍なんか居ない世の中で暮らしたいとおせいちゃんが言うと
そういう未来のために俺は戦うと答えます
ふわふわとつかみどころのない性格をしているように見えますが
信念はしっかり持っていてはっきりと自分の意見を言います
私達は、戦い方も知らないし戦いたくもないとおせいちゃんが言うと・・・
弱さを言い訳にするな!と軽く説教しちゃいます
今までの侍が好かれたくて耳障りのいい事ばかり言ってたのとは違い
この侍はおせいちゃんと人と人としてしっかり向き合って会話をしています
そしてそのまっすぐな言葉はおせいちゃんに刺さっていきます
この村の風景が好きだとおせいちゃんが言うと
侍もこの村の風景は好きだと言います
「本当にそう思うならお侍さんなんかやめてここで暮らしたらどうですか?」
たわいもない会話ですが二人の距離は少しずつ縮まっている気がします
「他の侍たちが、みんなあなたみたいな人だったらよかったのに・・・」
侍の中では好きって事なのかな?一人の男性としてではないのかもしれない
・・・
っと、ちょっと聞き逃しました
「いつのまにか、みんなにとってかけがえのない人になって・・・」
これはこの侍の事?村人にとってかけがえのない人って事?
「もちろん 私にとっても・・・」
あっ・・・これは・・・もしや・・・
「俺もだ」
「あ、あの・・・ありがとう」
はい、相思相愛でした
おせいちゃん・・・
「何の娯楽もないこの村にあなたは足しげく通ってくださるのね」
「とっても嬉しいけど・・・少し・・・ほんの少しだけ切ない」
「楽しい時間は長くは続かない・・・」
「どちらかが、いつか手の届かない場所へ行ってしまいそうだから・・・」
・・・
・・・
・・・
「わたし 以前は自分の手でなにかを成し遂げたことなんてなかった・・・」
「でも 今はこうやって畑を耕し明日への希望を育てる事ができる・・・」
「とても幸せです」
時間が遅くなったので急いで今日の仕事を終わらせようとするおせいちゃん
すると侍は・・・
おせいちゃんの手を握って言います
「ふたりなら 二倍 耕せる」
「あなたとふたりなら きっとできる」
コータ!じゃましたらあかん!!
そしてまたあの時がやって来ます
藤森の軍勢が桜花党に攻め込んでくる!皆に逃げるように言わないと全滅してしまう
急いで実利城にむかうと、いつものように松崎源十郎が逃げようとしていました
今回は一緒に逃げるわけにはいかない侍でしたが止める事もしませんでした
松崎源十郎はこういう人間なんだと侍はその性格を否定しません
いつものように梅宮佑馬たちを説得して逃がし村に戻ると・・・
おせいちゃんがこの国から連れ出してほしいと言ってきました
藤森の手の者に追われていてこれ以上村の人に迷惑をかけられない
理由はいつか必ず話すから・・・とお願いされます
侍は訳も聞かず一緒に天奈を出る決断をしました
このまま国を出れば ただの村娘として生きられる
「そう あなたとともにふたりで・・・」
そこに現れたのは梅宮信之助
静流姫は我らが最後の希望 失えば桜井家は本当に滅びてしまう
桜井家復興のため、主膳を倒すための旗頭として戻ってほしいとお願いされます
わたしは静流なんかじゃない わたしは村娘のおせい
この侍と静かに暮らしたいだけ・・・
ならば 拙者はどうなるのです?!
桜井家再興のため裏切り者の汚名をかぶって主膳に仕えたこの屈辱は・・・
傍らに居る侍が心を惑わせているのだと襲い掛かってきました
愛する人のために侍は梅宮信之助を倒しました
目が覚めたのか梅宮信之助はあなたの道をゆくがいいと言います
自分にはそれを止める術はない・・・
今まで信之助さんの色んな姿を見てきたから気持ちは痛いほどわかる
でも、今回はおせいちゃんが決めた事だから・・・行かせてあげて
この関所を越えてしまえば おせいちゃんはもう静流ではなくなる
桜井家が滅びた日からずっとおせいちゃんは怖かったんだ
ひとりで生きていくなんて考えられなかった・・・
「でも今はあなたがいる・・・」
「もう 私は何もいらない」
「あなたさえ そばにいてくれたら・・・」
行きましょう さようなら・・・ 静流
すべてを捨てた 姫と侍。
戦乱続く祇州天奈に背を向け歩く。
義を捨て愛に生きる。
それもまた ひとつの生き方。
互いの存在以上に 大切なものなどない。
・・・
・・・
・・・
この後、天奈は藤森主膳に恐怖で支配されてしまい
さらにその主膳も織田信長に滅ぼされてしまうのですが
このエンディングは個人的に結構好きだったりします
なしこ