女剣士の想いを果たす手伝いをすることにしました
桜花党に居る女剣士の名前は「いつせ」さん
藤森主膳に対してかなりの恨みを持っています
ただ藤森主膳は強い、この女剣士の力で倒すことができるかはわかりません
わたしは稽古の相手になり「いつせ」さんを鍛えてあげる事にしました
何度か稽古をし話をすることで信頼してもらえるようになります
前世の罪滅ぼしというわけではない
ただこの女剣士の強い思いを助けてあげたい気持ちになってきます
ある日
今まで自分の事を話すことが無かった女剣士がわたしに過去に会ったことを話します
「主膳は 私の両親と弟妹たちの仇・・・」
ただ畑を耕して暮らしていたいつせさんの家族は主膳に殺されます
お父さんもお母さんも、やっと五つになった弟も生まれたばかりの妹も・・・
いつせさんの戦う理由はみんなの仇を取るためでした
前世のわたしはその思いを果たせるかもしれない直前で邪魔してしまったんだ
いつせさんはわたしにこの話を聞いてもらいたかったと言って去って行きます
・・・そして数日後、織田信長が祇州天奈に向かって動き始めます
世の中が動き始めたとき、いつせさんは実利城の離れの小屋の前に居ました
「来てくれると思っていた・・・」
織田信長が攻め込んでくる
「今 この機を逃せば この手で主膳の首をあげる機会はなくなるかもしれん」
あくまでもいつせさんは自分の出て藤森主膳を殺したい
織田信長の手で頃されてしまってはみんなの敵討ちになりません
「私は天奈城へ斬り込む」
このタイミングで天奈城に乗り込めばまず生きて帰ることはできないでしょう
それでも意地を通したいと言います
「死ぬことで貫ける生もあるはずだ」
「おまえはどうする?」
わたしは・・・いつせさんの最後を見届けると言います
「では ともに死ににいくとするか」
わたしの顔が既に死んでるみたいになっているのがちょっと残念・・・
「狙うは主膳の首 ただひとつ!」
こうして二人で天奈城へ乗り込むことになりました
「一気に行くぞ ここで手間取っていたら主膳までは届かない!」
「私の背中はおまえに預ける 任せたぞ!」
わたしたちは正面からたった二人で藤森主膳の首を取りに行きます
群がる敵をなぎ倒しながらわたし達は一気に城の中に突入しました
すると・・・
「ほう 妙に場内が騒がしいと思って来てみれば・・・」
「なかなか面白い舞を舞っている者がいるではないか」
「藤森主膳!」
藤森主膳はたった二人のわたし達にここまで攻め入られる自分の兵は不甲斐ない
わたしたちには見込みがある 儂の配下にならないか?と言い出します
「私はおまえを殺すために今まで生きてきたんだ」
といつせさんは言い返しますが・・・
「ふん 復讐だと・・・つまらん!」
「後ろばかり見ている者がこの儂を倒せると思うか!」
後ろ向きなんかじゃない
みんなの仇を取るためにすべてを捨てて誰よりも前のめりに生きてるんだ!
生きて帰れないと分かっていながら自分の意地を通してここに居るんだよ!
全てをかけた戦いの末、わたしたちは藤森主膳を倒すことができました
この後、主膳がごちゃごちゃ言ってたけどもうわたし達にはどうでもいい事
ただ覚えているのは
いつも気丈に振舞っていたいつせさんが子供のように泣きじゃくっていたことだけです
「おっとう・・・おっかあ・・・やった・・・よ・・・!」
・・・
・・・
・・・
名も知れぬふたりの野武士の襲撃により藤森主膳は倒れた・・・
仇を討つことはできたけど・・・
やはり、わたしたちは生きて戻ることはできなかったみたいです
なしこ