オーグスト王らのおかげで、ラ・カザナル宮天守から無事に脱出することができました
「この光は世界樹の・・・?」
ハーサーカが言います
「脱出の際に見えた世界樹・・・その力が降り注いでいる 命を育む、黄金の光よ」
「女王さん、無茶しやがったな・・・また多くのもんに、助けられちまったなぁ」
モリマーさんは「よく頑張ったな」とほめてくれました
そして、最後の戦いに立ち会えなかったことを謝ります
「おまえさんらの活躍で、冥王ハデスの脅威は晴れたんだ」
「古きものを代表して礼をいうぜ、ありがとうよ・・・」
ただ、事態がすぐに好転するほど世の中は甘くない、むしろ大変なのはこれからだ、と言います
「さあ、戻ろうぜ わしらの還るべき場所によ」
「はい!」
わたし達はそれぞれ、還るべき場所へ戻ります
わたしはアシェラさんと一緒にアドゥリンの街にもどります
すると・・・
呪いが解けたのか、意識を失っていたはずのティアナちゃんが元気に遊んでいました
わたし達を見つけると声をかけてきて
「ありがとう」
と、お礼を言います
どうしたの?と聞くと、助けてもらったらお礼を言うのは当然です!と答えます
「あたし、夢を見ました まぶしい金色の光の中から、おっきくて真っ白なドラゴンに乗った、おひめさま、そしてなしこさんを!」
「それですっごい光に包まれて目をつむって、目を開けたら、おじぃちゃま・・・それにパパに、ママ、」
「みんなが、ティアナを囲んで泣いていたの」
「ティアナはずっと寝てたって 最初はよくわからなかったのですけど・・・」
「すぐわかりました!」
「おひめさまと、なしこさんがね!ティアナを森で助けてくれたときみたいに、今度はなが~い夢から覚まさせてくれたんだって!」
「そうなのですよね?」
わたしは「すてきな夢だね」と言いました
するとティアナちゃんは、夢じゃないと言います
そしてわたしに聞いてほしい事があるみたいです
ティアナちゃんは前に森でアシェラさんに助けてもらった時、魔法ってすごいなと言っていました
大きくなったら、あんなふうに魔法が使えるようになったらいいなと思ってたみたいです
「でも・・・ティアナは決めました ティアナはなしこさんみたいになりたいのです」
「開拓者になるって決めました!」
そしてアシェラさんみたいに、たくさんの動物たちとなかよくなるんだとか
「ライバル登場だな!」
わたしがそう言うと・・・
「ライバル!ティアナ負けません!これからみんなで修業なのです!」
そういって元気に走っていきました
その後、わたしはアドゥリン城に行ってアシェラさんと話をしたりしました
一緒にトマトジュースをのんでみたり・・・
思いっきりぶん殴ったことを思い出さされたり・・・
「あのときは、ごめん」
暴力をふるったことは忘れてください・・・
ただ、アシェラさんの中では、あの時の痛みはわたしからの優しさと思ってくれているみたいです・・・
・・・助かった
わたしと初めてであった時に不思議な予感があったみたいです
わたしの周りにはアドゥリンの誰とも違う風が吹いている気がしたと言います
今思えば、それは「変化」という名の風でした
アシェラさんやアドゥリンの人達は立ち止まっていた・・・
「目の前で起こっていることを、ちゃんと見ようとはしていなかったの」
「世界樹が枯れつつあったことも、冥宮がふたたび開かれつつあったことも、知らなかった」
「そんな長い凪の状態を、あなたという風が吹き、そして・・・街に、アドゥリンに変化を与えた」
「最初は緩やかに・・・次第に大きく広がって、わたしたちは知らないうちにその風を背に受け、一歩ずつ歩みはじめ、いまこの時がある・・・」
あなたのおかげです
その後もめちゃくちゃ褒められてお礼を言われまくります・・・
すると、そこに・・・
「・・・アシェラ様十二当主様方から大事なお話があるとのことです 晩餐会場のほうへお越し下さい」
「あの日から、まだみんなと和解できてないんだった」
「大変なことばかり続いてたから・・・ううん、違う、理由を作って、忘れようとしてたんだ」
「ちゃんと向き合わないとだね」
「あ、あの・・・イルドベール、様」
・・・アシェラさんはちゃんと謝ろうとしているみたいです
しかし、先に頭を下げたのはイルドベールさんの方でした
「アシェラ殿、どの面下げてここにいると思われても仕方がない」
「そなたの言う通りだ・・・そうだ我々はいつしか、互いの言い分を押し通すことだけに躍起になって、国を、民を顧みてなかった・・・」
「最初はそうではなかった・・・目指すべきものは一緒だったはずなのだ」
「・・・いや、もはやなにをいっても言い訳にしかならんのはわかっている」
「そして、わしは・・・偽りなくまっすぐに貫くそなたの正論に、すっかり頭に血が上ってしまった」
「いや、だからといって、わしはいってはならぬ、言葉を口に・・・」
「出てしまった言葉をいまさらなかったことにはできない」
「・・・それでも謝らせてほしい」
「アシェラ殿、あのときは本当に申し訳なかった・・・」
そういってもう一度深々と頭を下げます
「よ、よう、アシェラ」
つづいてチェイロマチェイロさんも・・・まぁごちゃごちゃとなんか言っていますが・・・
アムチュチュさんいう結論だけ言うと、あの円卓の間での騒動の後、十二家ゆかりの者たちの間で起きた原因不明の意識喪失の被害者は・・・
「みーんな、意識がもどったわ」
そゆこと
安心したのかアシェラさんは泣き出してしまいました
「よかった・・・みんなが無事で、本当に・・・ティアナちゃんも夢じゃ・・・夢じゃなかったんだね・・・よかった・・・よかった・・・」
「あ、あのよぅ・・・俺も悪かったよ、あれよあれよとその場の流れに乗っちゃうクセがさ・・・」
チェイロマチェイロさんは、まだごちゃごちゃ言っていましたが、アムチュチュさんに素直に謝れと言われて最終的に、素直にごめんなさいしました
あの騒動の後、アシェラさんは十二家の人達には何も話していませんでしたが
わたしとアシェラさんが何をしていたのかを、誰かが話してくれているみたいです
ヴォルティミアさん、イングリッドさんも・・・そして
モリマーさんも・・・?
ざっくり言うと、各家同士の問題を蔑ろにしてアシェラさんがあちこち飛び回っていたから、イングリッドさんは冥王の件が片付いた後、丸く収まるように色々動いてくれていたみたいです
モリマーさんはわたし達と別れた後、イングリッドさんに連れられてここに来たみたいデス
状況を色々と説明させられた感じなのかな?
ヴォルティミアさんは言います
「イルドベール殿・・・そして、各名家の当主らには、私から説明した 私も権力に目がくらんでいた一人だから」
「罪滅ぼし・・・ではない 私は大きな過ちを犯した そして、身を引き外から国の内情を見ることで、やっと気づいたのだ」
「自分たちがやってきたことの愚かさに」
「これで、犯した罪が軽くなるとは思っていない 聖職者の端くれ、アドゥリンの方に則り罰を受ける覚悟はできている」
「むしろ、その境地だからこそ気づき・・・このように行動できたのかもしれない」
「アシェラ殿、イングリッドを赦していただき感謝します 全ての責任は私にある・・・」
「なんなりと罰を受けましょう」
色々と話をした結果、アドゥリン家を除く十一の名家は、今後一切派閥争いをしない事を決めたみたいです
これからはみんなで協力してやっていくみたいですね
上の体制が変わることで、すぐに下の者たちみんなが仲良くするのは無理かもしれないけど
そこはこれまで以上に当主のみんなが頑張っていくそうです
当主の一人、フラヴィリアさんが
「仲良きことは美しきかなってね~♪」
そう言って色々と丸く収まった感じになりました
(結局十二名家当主のお名前は全員把握できないまま終わった気がする・・・)
なしこ