わたし達を待っていたのは・・・
「やあ、アドゥリンの若姫、無事逃げ果たせたようで、なによりだ」
「待っていたよ」
待っていたのはテオドールさんでした
「フム・・・一人欠けている、か」
アシェラさんは「どういうことですか?」と聞きます、もしかしたら敵?
「はは、まあそういきり立たないでおくれ 私は君たちの敵ではないよ」
(その点は保証しよう 彼は我らの味方だ)
ダラクァルンもテオドールさんは敵ではないと言っています
「・・・詳しい話は後にしよう」
テオドールさんはカミールの山頂に来るように言って去って行きました
とりあえず、あの場からは離れたほうがいいだろう、という事で早速カミール山頂に
すると、そこにはハーサーカとテオドールさんが待っていました
「待ちかねたよ さて、なにから話すべきか」
「彼、モリマーのことを語る前に君たちは知っておかねばならないことがある」
テオドールさんは冥王を倒せない理由を説明してくれます
「冥王は自らを護るため三魔君の魂それぞれに印を刻み込んだのだ それが最たる理由の1つ」
それは珍しい技ではないそうです、アドゥリンの代々の投手が初代王の墓所の鍵を当主に引き継がせるのと同じやり方だと言います
以前ユグナスさんがくれた鍵がそれみたいです
そして冥王自身が三魔君の魂に刻んだモノは「冥王の聖痕」と呼ばれるものです
その「冥王の聖痕」がある限り冥王を倒すことはできません
その「冥王の聖痕」は冥王の魂と繋がっているみたいです
「冥王の聖痕」は天守へ行くための鍵であり、それと同時に冥王の魂を護る鎧のようなもの
つまり、三魔君は冥王への様々な弊害、災厄を肩代わりすることになります
冥王に対する一切の攻撃行動が無効化されてしまうんだと言います
「そして「聖痕」は絶対的な忠誠の証でもある」
アシェラさんが聞きます
「・・・なぜです なぜ、おじさまはそこまでお詳しいのですか?」
テオドールさんが言います
「・・・とうの昔に切ったものを捻じ曲げて戻されるとは思わなかった」
「戻される・・・?・・・まさか!?」
何かに気付いたアシェラさんにテオドールさんは言います
「そうだよ、若姫 それが、私が冥王の下へ行けなかった理由なのだ」
「言っただろう『絶対的な忠誠の証』だ・・・と」
「いま再び・・・私の魂に、冥王の聖痕が刻まれている」
するとハーサーカが言います
「もうわかったであろう?」
「元不死君・・・いまは七支公がひとり。『不死公』の名を持つもの、それがそやつよ」
「そう、ここにいるハーサーカ・・・そして、モリマーと同じく・・・初代王の時代より共にこのウルブカの地を見守ってきた」
「かつて、冥王ハデスに仕え・・・オーグスト王との戦いの末、心を開いたもの」
・・・それが、私だ
「そして、彼・・・モリマーが、あのような行動を取ったのには理由がある」
それは自分のせいだとテオドールさんは言います
説明した通り聖痕のつながりを断ち切らない限り、冥王は事実上無敵
しかし聖痕を刻まれたテオドールさんには何もできない
だから天守に向かうモリマーさんを引き留めて、全てを伝えました
無敵の冥王と、なにも知らずに戦えば一方的に消耗して、いずれは彼の手に落ちる
その冥王を前にして無事に逃げることなどできない
「・・・誰かがその場に残り 他の者らを逃がすための犠牲にならねばならない」
「そうだ、私はモリマーに死を宣告したのだ 君らのために犠牲になれ、とね」
するとモリマーさんは言ったそうです・・・
「ヘッ、上等!こんなわしの命で、あいつらを救えるなら安いもんよ!任せときな!」
「さて・・・アシュラック、ドクマクを倒した君ならもうわかるだろう」
「聖痕は、やるといって、やれるモノではない これは、要するに冥王の掛けた呪いだからね」
「・・・聖痕の力を無効化せねば、冥王には勝てん、君の力をすべてぶつけ、この私から奪い取りたまえ」
・・・そう、かつてオーグストがそうしたようにね
「さて、ここから少し遠いが戦いにおあつらえ向きの場所がある」
そう言ってテオドールさんはわたしに決闘を申し込んできました
「ララ水道の決闘場で待っている」
「それと、若姫よ、悪いが此度の戦いからは外れてもらうぞ」
「・・・私も手を抜けないのでな 言わんとすることは、わかるな?」
アシェラさんは戦いから外れる事には納得しましたが
初代王の血を引く者として、最後まで見届けさせてくださいと言います
「・・・いいのかね?戦いの先には辛い結果が待っているかもしれんぞ」
アシェラさんは覚悟はできていると答えます
「よろしい、ではな」
そう言ってテオドールさんは先に決闘場へと向かいました
アシェラさんも、なんとなく普通の人ではないと思っていたらしいですが、さすがに初代王の時代の人だったなんて思わなかったと驚いています
テオドールさんは図書館でふさぎ込んでるアシェラさんを気遣ったり
ゲーム好きなおじさんだと開拓者の中で噂になっていたりしていたみたいです
するとハーサーカが言います
「フッ、あやつは人の世に溶け込みすぎた」
「忘れた頃に、ふらっと訪れては、楽しそうに語りおる 本当に、気ままな漢よ」
「だがな、あやつは強いぞ、不死公の名は伊達ではない」
「・・・心して挑むのだぞ あやつを倒せぬようでは冥王を倒すなど夢物語に等しい」
「おぬしの全力を持ってぶつかるのだ テオドールもそれを望んでおる」
「あやつもまた戦士よ、猛き者に惹かれるものだ かつての初代王との戦いのようにな」
あやつに掛けられた冥王の呪縛を解いてやってくれ、とハーサーカからも頼まれます
聖痕の力を無効化するため、テオドールさんの魂に刻まれた冥王の呪いを解くため
わたしはララ水道の決闘場に向かいます
なしこ