財務大臣のメルディアンさんはとても仕事ができるみたいです
山のように積まれた書類を、ちょっと見るだけで細かい間違いまで気づいて直すような仕事ぶりだったみたいです
しかし最近、記入漏れとか、個数の誤記入とか、簡単なミスが目立つみたい
そのせいで港の倉庫は、いらないものが溢れ、必要なものが足りないっていう状況で困っているらしく、港まで行って様子を見てきて欲しいと頼まれました
倉庫に行って見ると「絶賛てんてこ舞い中」みたいでバタバタしていました
そこにメルディアンさんの補佐をしていると言エスティエヌさんがやってきます
エスティエヌさんが言うには、ここのところメルディアンさんは急を要する別件で忙しいらしく、エスティエヌさんが代わりを務めているみたいです
今日は書類にひとつ品名が抜けていて、調達に失敗してしまったので
足りない分を何とかしてもらえないかと頼まれました
バザーで売っていたので購入して持って行ってあげました
現場の方でも最近は財務大臣の仕事はほとんど補佐の人達がやりくりしてると噂になっています
ただ、人出を倍に増やしても全然足りていないみたいです
メルヴィアンさんは今まで財務のあらゆる仕事をほぼ一人でこなしていたスゴイ人でした
それが、今はアドゥリンのあちこちで公務に支障が出ています
特別な一人に頼り切った組織ってのは、その一人が居なくなると、とたんに回らなくなるものだ・・・という話を聞かされました
お手伝いが終わって、パイオニア・ワークスに行くとアシェラさんが来ていました
「覚えてるかな?カミール山麓での出来事・・・」
あの後、少し離れた場所でも試してみたみたいです
ふたつの光の線が交わるところを探せば、あの剣が指示したところかもしれない
過去の資料と照らし合わせてみたところ、初代王オーグストもそこを訪れたと記録が残っていたみたいです
オーダーサインと共に伝えられているあの言葉を信じるならば
森で起こる異変を鎮めるための鍵は、おそらくあの麓にある
わたし達は、カミール山の頂上に行って見る事にしました
そこには、あの時見た龍が居ました
「ここは、人間の立ち入ってよい場所ではない」
「森を荒らすおぬしたちのような輩は、早々に立ち去るのだ・・・さもなくば・・・」
「我は、おぬしたちに光の鉄槌を下さねばならぬ!去れ!」
アシェラさんはオーダーサインを差し出して言います
「待って!待って・・・ください、これを、これを見て」
わたしも、ロスレーシャの実を見せます、すると・・・
「ふむ・・・オーダーサインとロスレーシャの実か・・・」
「では、おぬしたちは森を荒らす輩ではなく、げに気高くも勇猛であった王・・・オーグストの意を汲むものだというのだな?」
アシェラさんが言います
「初代王の名を・・・そんな風に親しげに呼ぶなんて、まさか・・・オーグスト王を知っているの?」
「初代の王がいきていた時代なんて、人の一生の何十倍以上も、ううん・・・」
「ひょっとしたら、もっともっと前なのに・・・!」
「むろん知ってるとも、我が名は、ハーサーカ」
「彼(か)の王と共に戦いしもの 彼の王に絶対の忠誠を誓いしもの」
「人間たちの言う歳月などという言葉は、悠久を生きる我には無縁だ」
「だが、敢えてこう言おう、千の昼が暮れようと、万の夜が明けようと、王と我との誓いは揺らがぬ」
「我から見れば、人の一生など、うたかたのようなもの、束の間だけ輝いて見せたかと思えば、まばたきほどの間に消えていってしまう」
「消えては結び、また消えゆく、はかなき存在が人間だ・・・」
「だが、あの王だけは、我には異なって見えた」
「光の龍である我よりもなお、彼の方が輝いて見えたぞ」
「我を影の国から連れ出してくれたあの王だけは・・・」
「そうとも、我は彼のことを忘れはせぬ」
「だが人間の娘よ・・・おまえはどうなのだ?」
「オーグスト王の意を汲む者だと言い張るが・・・どれほど、あの御方のことを知っておるのか」
では、ウルブカの守護者として問おう・・・
ハーサーカがアシェラさんに対して問いかけます
最初は順調に答えていたのですが・・・
「どうしよう、わたし、そこまで覚えてない」
「ううん、そんなことまで書いてなかった気がする」
途中で答えられなくなってしまいました
「話にならぬな・・・我は、日も差さぬ星の光も届かぬ彼方から、解放してくれたあの日から、片時も王との誓いを忘れたことはないのだぞ」
「もう、よい・・・おぬしらが何をしにきたかは知らぬ、知らぬが我らの想いの深さを理解できぬような輩とは話すことなどない」
「早々に立ち去るがいい・・・我は疲れているのだ・・・生き続けねばならぬことにな・・・」
「わたし・・・なんだか、恥ずかしい・・・」
あの龍の言うとおりかもしれない、もっと・・・色々なことを知らなくちゃいけないんだね」
アシェラさんはセレニア図書館で更に色々と調べるつもりみたいです
セレニア図書館の司書長に陛下閲覧の許可を貰って、持ち出し禁止の本を見る事が出来る様になったみたいです
・・・あの
使いっパシリや戦闘はわたしが担当するので難しい事を調べるのはアシェラさん・・・おねがいします・・・
ってことで、「初代王の仲間」「初代王の戦い」「初代王の最後」について担当のアシェラさんが調べる事になりました
(重要な部分はミッションを進めると出てくると思うので・・・飛ばします)
・・・
・・・
・・・
「初代王の最後」について調べようとしたのですが、その本が見当たらないみたい
持ち出し禁止の難しい本ですがわたしたち以外にも読んでいる人が居ました
本来持ち出し禁止ですが特別な計らいで貸し出された人は・・・
「メルヴィアン・ドゥ・マルクロワ様」
財務大臣のメルヴィアンさんも同じ本を借りて読んでいたみたいです
そこにメルヴィアンさんの補佐をしているエスティエヌさんが本を持って現れます
メルヴィアンさんの机の上に見慣れない本があったので届けてくれたみたいです
早速読んでみる事に・・・
王の最後を看取ったものは誰もいない
森を荒らす忌まわしき闇の魔物たちは大冥宮からやってくるみたいでした
魔物達と戦い命を落とした者もいたけど王は躊躇わずに大宮へと降りて行きます
森を荒らす魔物達が二度と地上へ現れないよう、ウルブカの地の平和を護るために・・・
しかし・・・王も、彼と行動を共にした部下もひとりを除いて帰って来ませんでした
帰って来たのは獣の騎士モリマーと、彼が連れていた金虎の忘れ形見である一頭の虎だけ・・・
モリマーが語った言葉によればオーグスト王は大冥宮の深部でどうやら闇の眷属たちを従えている×××と戦った、という
(王が戦った相手の部分は読めなくなっています)
とても激しい戦いで一緒に戦っていた部下たちもひとり、またひとりと倒れていきました
オーグスト王は自らを盾にしてモリマーだけをかろうじて地上に送り、自分はそのまま冥宮に留まりました
その時王の愛剣がモリマーに託されます
アドゥリン城へと戻ったモリマーは、王が
『二度と開拓をするな』
と遺言を残したと語って、誓いを込めた剣をまだ幼い王子と王女に渡した
その剣が「オーダーサイン・・・」
その後モリマーは姿を消しました
モリマーと金虎の子はそれ以後から今に至るまで森を護り続けていると言われています
わたしには難しい内容でしたがアシェラさんはしっかり調べられたみたいです
「今度こそ、ハーサーカの誤解を解いて森の異変の謎を突き止めないと」
わたしたちは再びカミール山に向かいます
なしこ